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成功するための科学 計画の心理学

モチベーションを維持し続ける「曖昧目標」の心理学

投稿日:2021年5月7日 更新日:


こんにちは、shinです。

今回は「モチベーションを保ち続ける曖昧目標の作り方」というテーマで書いていきたいと思います。

なにかの物事を取り組むにあたって多くの人が立てるのが、目標です。

「今月は営業で100万の売上を出す」、「次の英語のテストで95点を取る」というように具体的な目標を設定します。

たしかにこの明確で具体的な目標設定は前の記事でも解説したとおり、とても有効であることがほとんどです。

しかし、この具体的で達成できたかできていないかが明確な目標を立てることには、意外な副作用があります。

容易に想像できるかもしれませんが、その目標に達成しなかったときに再挑戦するモチベーションが湧かなくなることがあるのです。

今月の営業成績が80万円で目標に20万円届かなかったという場合、この目標は達成できないと判断してしまい、売上を高めるための努力を継続するモチベーションが途切れてしまいます。

こうなると目標を立てる一番のメリットでもあるモチベーションが長期的に下がってしまうので、意味がなくなってしまいます。

では、長期的にモチベーションを保つにはどのような目標の立て方をすればいいのでしょうか?

答えは、、目標に幅をつけることです。

目標に幅を持たせるいわゆる「曖昧目標」がモチベーションを高めてくれるのです。

目標に再挑戦するときは幅を持たせろ!?

マーケティング学の教授であるM・スコットとS・ナリウスは、一度達成できなかった目標に対してのアプローチの仕方を調べました。

この一連の研究のなかに、ダイエットクラブを舞台にしたものがありました。

この研究では10週間のプログラムへの参加に同意した会員たちが、期間中に減量の目標を決め、その後、以下のような2つのグループに振り分けられました。

1、きっちりとした数値目標を設定したグループ
2、幅のある数値目標を設定したグループ

たとえば、きっちりとした目標を設定するグループは「今週中に1キロ痩せる」という目標が、幅のある目標を設定するグループの場合、「今週中に0.5から1.5キロ痩せる」という目標が与えられるというわけです。

そして毎週、体重を量りこれを繰り返していきます。

10週間後のプログラムの終わりに研究者は、参加者の体重がどれほど減ったか、もう一度10週間のプログラムに参加するつもりがあるかを、確認しました。

その結果、体重の落ち具合に二つのグループで大きな差はありませんでした。

しかし、次のダイエットプログラムへの参加率に大きな差が出ました。

きっちりとした目標を立ててダイエットに取り組んでいたグループで、次のダイエットプログラムに登録したのは約50%だったのに対して、幅を持たせた目標を持っていたグループは80%近くが登録したのです。

まとめ

つまり、きっちりとした数値目標を決めるより、幅を持たせた方が約30%も継続して努力できるのです。

目標を持っている人に重要な影響を与える要素は「やりがい」と「達成可能性」です。

特に2つ目の「達成可能性」は重要で、達成不可能な目標を立てられても私たちのモチベーションは高まりません。

そこで幅を持たせた目標を持つことでこのやりがいと達成可能性をカバーできるわけです。

たしかに、一定の期間で具体的な目標を決めてそれを達成することは大切ですが、それを継続することはもっと大切ではないでしょうか?

例えばダイエットで求められるのは短期的な成果ではなく、長期的な成果であって、リバウンドしてしまえば意味がありません。

この継続的なモチベーションを保つためには、ピンポイントな目標(1ヶ月で3キロ痩せる)よりも少し曖昧な目標(1ヶ月で2-4キロ痩せる)が役に立つのです。


というわけで、長期的な目的に対しての目標設定には「曖昧目標」を使ってみてはいかがでしょうか。

じゃあまたね〜。


参考文献、おすすめ本はこちら

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