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行動経済学が明かした「メンタルアカウンティング」とは!?

投稿日:2020年8月11日 更新日:

こんにちは、心理学ライターのshinです。

いきなりなんですがお金って不思議だと思いませんか?

お金は昔から使われているのに、なぜかみんなあまり仕組みがわかっていなかったり、無駄遣いをしてしまったり、、、

誰もが使うお金ですが、実は私たちはお金をうまく使えなかったり、稼げなかったりと大きな悩みの種になります。

心理学者や行動経済学者は人がどのように意思決定をしているのかということについて長年研究を続けてきました。

もちろんお金を稼いだり、お金を消費したりするのも意思決定の1つですから、人とお金の関係の研究も進んでいます。


そんな中でも有名な発見の1つとして数えられるのがノーベル経済学賞も受賞した著名な行動経済学者であるリチャード・セイラーが提唱した「メンタルアカウンティング」という考え方です。

これは日本語では「心の会計」と呼ばれており、私たちにはそれぞれお金の出所によってお金を使い分けているということです。


例えでいえば、一生懸命働いたお金と、運良く競馬で賭けに勝ったお金は同じ扱いではないですよね。

この「メンタルアカウンティング」についての面白い実験があります。

同じお金でも使い方が変わる!?

認知心理学者のダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキーはお金の使い方についてのある実験を行いました。

彼らは参加者を集めて、その参加者に以下の2つのシナリオを読んでもらいました。

シナリオ1:ある女性が160ドル払って舞台のチケットを2枚手に入れました。女性はショーを楽しみにしていましたが、劇場に到着してみるとチケットがないことに気づきました。彼女はカバンの中やポケットを探し回りましたがありませんでした。彼女はもう160ドル払ってショーを観るでしょうか?


シナリオ2:女性は今回、前売り券は買っていませんでした。代わりに現金で160ドル用意して、当日にチケットを買うつもりでいました。さて、劇場に着いて財布を開けてみると、なぜかお金がありません。彼女はクレジットカードで買うでしょうか?

これらの2つのシナリオでの質問を同じ参加者に答えてもらいました。


その結果、シナリオ1ではほぼ10人に9人が女性は観劇を見合わせると回答しましたが、シナリオ2ではシナリオ1で答えた参加者の半数以上がチケットを買うと答えたのです。

これは普通に考えるとどちらも160ドルの損失をしていることに変わりはありません。ところが少しシナリオを変えるだけで考えが変わってしまったのです。

まとめ

つまり、私たちは同じ1000円でもどこから入ってきたお金なのか、何に使うためのお金なのかを無意識のうちに頭の中で会計しているってわけです。


この一連のチケットの紛失を巡る実験ではこのように考えることができます。

チケットを無くしてしまった場合:舞台のチケット代は「娯楽」のお金から引き出され、さらに2枚目のチケットを買うのは無駄づかいだと感じる。

現金を無くしてしまった場合:現金は心の会計の中の「一般」にあたり、まだそこには残額があると感じる。

この2つの出費に対する感じ方の違いによって、2つ目のシナリオである現金を無くした場合の方がチケットを買い直すと答えた人が多かったのを説明できます。


このような「メンタルアカウンティング(心の会計)」という方法で私たちはどこにどれぐらいのお金を使うかを決めており、これがあるおかげで無駄な出費を減らすことができているというわけです。

とはいえ、この実験のように物事の状況によって私たちのお金の使い方は容易に変わってしまうので、気をつけなければいけません。

このような「メンタルアカウンティング」という性質を使って、いらないものをあたかも必需品のように宣伝することで売りつけようとする人ももしかすると、いるかもしれないからです。

お金を使うときはあくまで冷静に考えて、目の前のものが本当に必要なものなのかを見分けなければいけないってことですね。

というわけでこの心の会計を理解して自分のお金の使い方を見直してみてはいかがでしょうか。


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-お金の心理学, 行動経済学

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