こんにちは、心理学ライターのshinです。
私たちが普段から当たり前のように交渉を行なっています。
とはいえ、全ての人がビジネスで交渉を行なっているわけではなく、「家族に健康のために運動をしてもらう」ことや「子供に勉強させる」といったことも交渉の1つなのです。
これらの交渉(ビジネスも含め)の時に私たちがどうしてもやりがちなのは、自分の要求を通そうするあまり強引になってしまうことです。
しかし、おそらくご存知の通り、この方法はうまくいかないことが多く、たとえうまくいったとしても相手の中にはあなたへの強引なイメージが残ってしまうことが多いでしょう。
こうなってしまうと経済的用語でいうところの「継続的な取引」が厳しくなってしまい、おそらく次の日には子供は勉強しなくなる可能性が高いです。
ではどのようにすれば、うまく交渉を成立させることができるのでしょうか?
答えは「相手の視点で考える」ことです。
相手の視点で考えることは「視点取得」と呼ばれており、この「視点取得」の能力が交渉の成功率を高めてくれることが科学的に証明されています。
「相手の視点に立て」が交渉の黄金ルール!?
INSEADビジネススクールのウィリアム・マダックスとノースウエスタン大学ケロッグ大学院のアダム・ガリンスキーは二人の同僚とともに「視点取得」と「共感」についての効果について調べました。
彼らはガソリンスタンドの販売交渉を模した実験によって効果を確かめました。
現実の交渉と同じように、この実験でも障害となる条件として、買い手の支払い可能な最高金額を、売り手の受領可能な最低金額よりも安く設定しました。
しかしその一方で、両者ともに受諾可能で合意に結びつく相互利益も、交渉をする中で明らかにされるように設定しました。
交渉側の3分1の人は、相手がどのように「感じる」(共感)か想像するように指示されました。
別の3分の1の人は、相手がどのように「考える」(視点取得)かを想像するように指示されました。
残りの3分の1は当たり障りのない、一般的な内容(対照群)を指示されました。
その結果、「共感」を促された人は対照群よりも多くの取引を成立させたことがわかりました。
しかしながら、「視点取得」を促された人はそれよりさらに好成績をあげ、合意した組の76%が双方ともに満足する合意にこぎつけたのです。
別の実験でも似たような現象が確認されています。
採用担当者と就職希望者というガソリンスタンドの交渉よりもさらに難しく複雑な状況で同じような設定しました。
その結果、やはり「視点取得」を意識するようにした人が最高の成績を上げ、どちらにとっても満足のいく結果を出したことがわかりました。
まとめ
つまり、ほんの少しでも「視点取得」を意識するだけで交渉の成功率が上がり、お互いに満足のいく交渉ができる可能性が高くなるのです。
「相手の気持ちを理解しよう」ということはビジネスの世界などでよく言われますが、あれは半分正解で半分間違いです。
相手の立場や、置かれている環境、そういった背景を汲み取って相手が何を考えているのかを理解する、これが重要になってきます。
相手が嫌がっているのかどうかがわかっても、相手が何を求めているのかが分からなければ交渉が成立しないのは想像に難くありません。
実はこの「視点取得」のテクニックは日常生活でも結構使えます。
たとえばあなたのパートナーが機嫌が悪く、その怒りをあなたをぶつけてきたとします。
多くの人は理不尽なことをされたと感じて言い返したりして喧嘩になってしまうというのが普通でしょう。
しかしそうなる前にここで一旦、相手の置かれている状況や考えていることを「視点取得」してみるのです。
おそらく、パートナーが八つ当たりしてきたのには理由があるはずです。
もしかしたら上司に嫌なことを言われたのかもしれないし、友達とトラブルがあったのかもしれない、と考えてみるのです。
どうでしょうか?そういった風に相手の視点でものごとを見てみると、少し思いやりの心が持てるようになるのではないでしょうか。
このように「視点取得」は人間関係を円滑にするための武器として使えるかもしれません。
というわけで、「視点取得」のテクニックをぜひ使ってみてはいかがでしょうか。
じゃあまたね〜。
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