こんにちは、心理学ライターのshinです。
前回の記事で社会的な痛み(失恋や拒絶)はどうやら身体的な痛み(こけて擦りむくなど)と類似しているという研究を紹介しました。
ということでこのSNS社会では誹謗中傷が大きな問題になっています。
それをこの研究に当てはめれば、誹謗中傷されている人たちは集団で暴力的ないじめにあっているのとほとんど同じダメージがあると思うと恐ろしい話ですよね。
すごくざっくり言ってしまえば、特定の人に誹謗中傷を送るのは、その人を直接殴っているようなもんですからね。
という話はここまでにしておいて、勘が鋭い人なら気づいているかもしれませんが、社会的な痛みが身体的な痛みとほとんど一緒なら痛み止めを飲めば社会的な痛みが治るんじゃないの?ってなります。
実はこれを実験した研究者がいるんです。
さて、痛み止めを飲むことで社会的なダメージを和らげられたのでしょうか?
正解はイエスです。
その研究を詳しく見てみましょう。
人間関係での辛さには鎮痛剤が効く!?
ケンタッキー大学の心理学者であるネイサン・デウォールと社会心理学者のナオミ・アイゼンベルガーらが鎮痛剤が社会的な痛みを抑えられるのかを調べました。
研究者たちは25人の健常者を集めて、錠剤を1日に2錠ずつ、3週間にわたって服用してもらいました。
この時、被験者のうちの半数は極めて強力である鎮痛剤として使われるアセトアミノフェンの錠剤を、残りの半数はプラシーボ(偽薬)を渡しました。
そして最終日に1人ずつ被験者を実験室に呼んでコンピューター上のバーチャルなキャッチボールゲームを行ってもらいました。
被験者の一人ひとりには、別の場所にいる2人の被験者と一緒にプレーしてもらうと伝えたが、実際にはコンピューターを使って行なっていました。
チームメイトに扮したコンピューターは1回戦では被験者と仲良くプレーしましたが、その後の2回戦では被験者だけを仲間はずれにして2人でプレーし始めました。
そしてその実験後、研究者たちは社会的な苦痛を測るための質問に答えてもらいました。
その結果、鎮痛剤のアセトアミノフェンを服用していたグループは、プラシーボを服用したグループよりも心の傷ついた度合いが低かったのです。
さらにこの実験では、実は被験者にはfMRIの装置のなかで横たわってもらいながらバーチャルゲームをプレイをさせて、ゲーム中の脳をスキャンしていました。
その結果はなんと、アセトアミノフェンを服用していたグループは社会的な拒否に対して関係のある脳の領域の活動が抑えられていることがわかったのです。
まとめ
つまり、この研究からわかることは心理的な心の痛みは身体的な痛みに対してきく鎮痛剤で抑えられるかもよってことです。
これはちょっと衝撃的な内容なのではないでしょうか?
とはいえ薬には副作用もありますし、倫理的な問題がありますのでここではオススメはしません。(やってみるならあくまで自己責任で試してください)
ここで私が伝えたいのは自分の身体や心は自分が一番わかっているという考えはまやかしであるということです。
私たちはコントロール感を失いたくないため、この事実は一般にはあまり受け入れられていません。
しかし科学の世界では人は自分のことを本当に理解するのは難しいという考えが一般的になっています。
なので、私たちは無意識下での選択が自分の心に大きな影響を及ぼしているという事実をしっかりと受け入れた方がいいのかもしれませんね。
というわけで今回は鎮痛剤って実は精神的な痛みにも効くんじゃないのって話だったんですが、これを試すときはあくまで自己責任でってことでどうぞ。
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