こんにちは、心理学ライターのshinです。
今回は心理学の中でも最も有名といってもいい「ピグマリオン効果」という現象についてお話しします。
心理学を専門的に学んでいない人でも、もしかすると一度は聞いたことがあるかもしれません。
「ピグマリオン効果」とは人に期待されることによって、実際に物事の成果や成績が上がることをいいます。
ちなみにピグマリオンという名前はギリシャ神話に登場するピュグマリオン王の恋い焦がれた女性の彫像が、願いに応えて命が吹き込まれ、人間となったということから由来しています。
ですが本当に期待されるだけでパフォーマンスが上がるなんてそんなことがあるのかって疑問になっちゃいますよね。
しかし、これはエセ心理学とかではなく、実際に心理学の研究によって証明されているんです。
なので今回はこのピグマリオン効果についての実験を紹介したいと思います。
期待することで、なんとIQがアップした!?
心理学の世界で非常に有名な1960年代にロバート・ローゼンタールとエレノア・ジェイコブソンによって行われた実験があります。
彼らは18クラスの幼稚園から小学校の生徒に会話能力や推理力を測定する知能検査を受けてもらいました。
彼らは生徒の中で約20%いるブルーマーと呼ばれる才能を開花させることができる人だということを教師に知らせました。
しかしこのブルーマーに認定された生徒たちは本当に才能が伸びる可能性があったから選ばれたわけではなく、研究者たちによって無作為に選ばれた生徒でした。
こうしてこの事実を知らない先生は特定の生徒に「この子はブルーマだ」と期待する状況を作り出しました。
そして一年後に再び知能テストが実施されました。
その結果、なんとブルーマーと期待をかけられた生徒たちはIQのスコアが他の子供たちと比べてスコアが上がっていたのです。
普通の子供たちはIQは平均で8ポイント上がっていただけだったのに対して、ブルーマーとして扱われた生徒たちは平均で12ポイントも上がっていました。
さらにブルーマーは1学年では普通の生徒と比べると約15ポイント、そしてに2学年では10ポイントも上回っていたのです。
まとめ
つまり、実際の可能性とは関係なく、先生たちはブルーマーだと信じて期待した事によってIQが普通の生徒よりも伸びたわけです。
この実験の非常に重要な部分として挙げられるのはこれは学校の成績で測ったわけではなく、IQを指標としているところです。
というのも成績はあくまで先生の主観的な見方に頼るところが多く、もし成績で測ってしまった場合、教師のブルーマーであるというバイアスに囚われやすくなってしまいます。
しかしこのIQのスコアを利用した事でこのバイアスを避けることでき、より厳密な数値を出せたからです。
この「ピグマリオン効果」はその後の実験でも再現されており、期待が人を成長させるという事実が証明されています。
「ピグマリオン効果」は教育や仕事の育成でも使えますし、期待するということはコストもかからない期待される人にとって素晴らしいプレゼントとなります。
というわけで期待をうまく使うことによって子供や部下を花開かせてあげてみてはいかがでしょうか。
参考文献、オススメ本
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