こんにちは、心理学ライターのshinです。
これだけ個人での発信が可能となった今、多くの人が手に入れたいと思うのが影響力や権力ではないでしょうか?
あなたも権力や影響力を持ちたいと思ったことが少なくとも1回はあるかもしれません。
権力を持つことについてはいいことばかりが取り上げられていますが、権力やパワーを持つことには実は深い闇があるんです。
その闇ってなんなのかっていうと、実は権力は他人がどのように感じているかを理解する能力(共感力または共感能力)が下がることがわかっているんです。
ちょっと思い出してみてください。
あなたの周りに、もともとはすごくいい人だったのに、少しビジネスが上手くいったり、有名になったりして人が変わったように偉そうになった人とかいませんか?
あれはまさにパワーや権力を持っているという感覚が共感する能力を下げてしまっていることに原因があると考えられます。
実際に行われた実験を見てみましょう。
権力を持っていると感じるだけで共感能力が低下する!?
あなたは自分のおでこにEという文字を描いてくださいと言われたらどのようなEを描きますか?(以後これをEテストと呼びます)
このとき自分の方からみてEと描く人と他の人からみてEに見えるように描くという2通りの方法があります。
このEテストからわかることは心理学者が「視点取得」という能力で、これはどれだけ自分の経験や思考から飛び出して相手の感情は動機を想像できるかということを表しています。
要するにどれぐらい相手の視点に立って物事を見られるかってことです。
相手側から見えるようにEを描くということは相手の視点から物事が捉えられており、「視点取得」の能力が高いと判断できるわけです。
このEテストによるノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院の教授であるアダム・ガリンスキとそのチームが行なった実験があります。
彼らは被験者を2つのグループに分けて、実験の主要部の前に各グループに一連のエクササイズを行いました。
片方のグループには力を持つ、あるいは力を持っているという感覚を引き出すようなエクササイズを行いました。
もう一方のグループには力を持つ、あるいは持っているという感覚を弱めるような前者とは違うエクササイズを行いました。
その後に研究者たちは視点取得のレベルを測るために例のEテストを行いました。すると歴然たる結果の差が現れました。
力を持つという感覚が強いグループの人たちは、力を持つという感覚が弱いグループよりも3倍も自分視点のEを描きやすかったのです。
まとめ
つまり、自分が力を持っていると感じると、人は「視点取得」の能力が低くなってしまうってことです。
これは神経科学も証明していて、共感を感じたり、他人がどのように感じているかについて理解するのを助ける「ミラー細胞」は、高い地位につくと機能が損なわれるということがわかっています。
これらの傾向は私たちもよく目にしていますよね。
例えば、特にわかりやすいのは一般的には権力と影響力を持っているとされる政治家の税金を横領したりした問題や芸能人の脱税や不倫の問題などです。
権力や地位か高くなると、「視点取得」の能力が下がり共感能力も低下します。これによって相手の立場に立って考えられなくなり、このような不祥事を起こしてしまうのです。
権力や地位が高くなると厳しい決断をしなければならないので、こういった相手のことを考えすぎるとそのような決断が難しくなるからかもしれません。
ここで注意をしなくてはいけないのはこれは他人事ではなく誰にでも起こりうることだということです。
一時的でも力を持っていると感じるだけでより自己中心的な考えになってしまうのですからかなり厄介です。
しかしこのことを知っていれば、もしあなたが権力を持っても、謙虚に立ち振る舞うことによって回避することができるわけです。
というわけで自分がパワーを持っていると感じた時には、自分は共感能力が下がっていないかと自問してみてはいかがでしょうか。
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