こんにちは、心理学ライターのshinです。
私たちには、道徳的に良いことをしたり、自分が良いと思うことをした後は自分の好きなことをしても良いって考えてしまう傾向があります。
この傾向を心理学の世界では「モラル・ライセンシング」と呼んでいまして、良いことをしたと感じた時は注意した方が良いかもって話をこの前の記事でしました。
この「モラル・ライセンシング」はかなり無意識的に行われるので、かなり厄介だったりするわけです。
じゃあこの自分に良いことをした自分に甘くなってしまう傾向は、道徳的なことだけに止まらないような気もしますよね。
たとえば、自分の達成したい目標に近づいたと感じる時などです。
心理学の研究では、自分が目標のために良い行動に対してチャンスを与えられただけでいい気分になって不合理な選択を取ってしまうことがわかっています。
と言われてもよくわからないと思うので実際の研究を見てみましょう。
サラダを見るとジャンクフードを食べやすくなる!?
ニューヨーク市立大学バルーク校のマーケティング研究者たちはある驚きのレポートを見てある実験を行いました。
そのレポートの内容はマクドナルドのメニューにヘルシーな品物を加えた途端にビックマックの売り上げが驚異的に伸びたというものでした。
そこで彼らはこのレポートに興味をそそられ審議を確かめるために実験を行いました。
彼らは実験のために独自のファーストフードのメニューを開発して模擬店を作りました。
そして、実験の参加者たちにはメニューが手渡されてどれか1つを選ぶように指示されました。
この時、参加者は以下のようなふたつのグループに分かれました。
グループ1:フライドポテトなどファーストフードが並ぶメニュー
グループ2:上記+ヘルシーなサラダも載っているスペシャルメニュー
その結果を見てみると、サラダがメニューに載っていたグループ2の参加者の方が最も太りそうな食べ物を選ぶ確率が高かったのです。
もうひとつの実験では自動販売機を使ってジャンクフードを売った実験でも同じような現象が起こりました。
この実験でも通常のジャンクフードに加えて、低カロリーのクッキーを加えると、より多くの参加者が健康に悪いお菓子を選んだのです。
まとめ
つまり、私たちは健康に良さそうなものが目に入るだけで、より不健康なものを食べてしまうという傾向があるのです。
これはなんとも皮肉的なものですが、人間は好ましい行動について考えただけで気分が良くなってしまい、結果として目先の楽しみに飛びついてしまうのです。
私たちは普段からヘルシーで健康に良い食事をしようとしていますが、それによってむしろ「普段ヘルシーな食事をしているから」と言い訳を見つけやすくなりフライドポテトやハンバーガーをたくさん食べてしまうのです。
この罠に対処するためにも私たちはヘルシーな食べ物を見た時に、「ヘルシーな食べ物を見て、高カロリーのものを食べる言い訳をしているのでは?」と自問するべきです。
こうすれば意思決定がより意識的になり、不合理な行動に対応することもできるようになるのではないでしょうか。
これは高カロリーの食事を否定しているというわけではありません。
たまにはフライドポテトやハンバーガーを食べるのも美味しいです。しかし、こういった傾向を知っておくことはとても大切なことだと思います。
というわけで、健康にいい食事を見たり、食べたりしたときには誘惑に負けないように注意してみてはいかがでしょうか。
じゃあまたね〜。
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