こんにちは、心理学ライターのshinです。
私たちはよくコミュニケーションの技術についての話を聞いたり、本で読んだりしています。
コミュニケーションの本には「嘘をつかないようにしましょう」とか「相手の話を聞きましょう」といったことがよく書かれています。
これらは科学的にも有効な方法ではあるのですが、多くの人が見逃しがちな重要なポイントがあります。
それが「質問をする力」です。
質問はコミュニケーションで非常に重要な部分であるにも関わらず、多くの人が意識をできていません。
なぜそんなに質問の能力が重要なのでしょうか?
実は質問の仕方によって相手の答えを操作することが可能だからです。
質問の仕方を変えれば相手の答えを操作できる!?
ある調査で質問に選択肢を与えることの影響を調べたものがあります。
この調査では「子供が人生で備えておくべき最も大事なものはなんだと思いますか?」と質問し、2パターンの回答形式を用意しました。
1つ目:選択肢から選ぶグループ
2つ目:自由回答式のグループ
この結果、面白いことが判明しました。
1つ目のグループの場合、約60%が選択肢から「自分で考える力」を選んだ一方、自由回答式で同じ質問をされた場合、同様に答えた親はわずか5%程度に留まったのです。
また南カリフォルニア大学のノバート・シュワルツらの研究も興味深いです。
彼らは参加者に「あなたは人生に満足していますか?」の次に「あなたは結婚に満足していますか?」と質問しました。
すると「人生に満足している」と答えた回答者は結婚にも「満足している」と答えたのです。
これがどういうことかというと、この順序で質問されれば、参加者は人生の満足度は結婚に対する満足度に「直結して当然」だと判断したのです。
しかし実際には、逆の順序で同じ質問をしたところ、2つ(結婚の満足度と人生の満足度)の答えはそれほど相関していなかったのです。
まとめ
この2つの研究から言えることは、質問の形式や方法によって相手の答えが変わる(答えを操作できる)ということです。
1つ目の実験では、過半数の人が選択式では「自分で考える力」が大切だといっているにも関わらず、自由回答式になった途端に10分の1にも満たない人しか同じ回答をしませんでした。
このように私たちは質問によって答えを変えることが結構あります。
この心理を利用したテクニックに「ダブル・バインド」というものがあります。
「ダブル・バインド」とは、自分の都合のいい選択肢を作って質問するというもの。
たとえば好きな人をデートに誘いたいとき
普通なら
「日曜日の夜ご飯に行かない?」
と聞きます。これはいわゆるYESか NOかで答える形式で相手にはNOを選ぶ選択肢があります。
一方で「ダブル・バインド」を使った質問にすると
「美味しいご飯屋を見つけたんだけど、今週の土曜日の夜か日曜日の夜、どっちが空いてる?」
と聞くのです。この形式の質問をすると相手には土曜日か、日曜日かという選択肢になり、NOという選択がなくなるのです。
もちろん、それで断られるケースもありますが、YESかNOかで聞くよりはデートしてくれる確率が上がるはずです。
このように質問の仕方を工夫すれば自分の望む答えを得ることが可能なのです。
私たちは質問をすることを軽視しがちですが、実際には質問次第で相手に大きな影響を与えることができるようになるのです。
というわけで「質問の仕方」を考えてコミュニケーションを取ってみてはいかがでしょうか。
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