こんにちは、心理学ライターのshinです。
今回はどのような頼みごとを相手が引き受けてくれやすいのかについて解説したいと思います。
私たちは普段から相手に自分にとって好ましいような提案を行い、相手に行動を取らせようとしています。
たとえば、パートナーや恋人に対してより健康的でいてもらうために運動することを促したり、貧しい子供達を助けるためのボランティアとして街ゆく人に募金を促したり、、
この二つは一見すると全く異なった状況のように見えますが、相手を説得して自分の提案を受け入れてもらい、相手に行動を取らせようとしているという点で同じです。
こういった風に私たちは普段から何気なく説得を行なっています。
では、このように相手に特定の行動を取らせる確率を高めるためにはどのような提案をすれば良いのでしょうか?
答えは、少し先の遠い未来についての提案をすれば相手はこちらの説得に乗ってくれる可能性が高くなります。
というのも実は、人は将来のことについての提案に対して、より気前がよくなることがわかっているのです。
2ヶ月後の約束ならより多く引き出せるかも!?
アリゾナ州立大学の経済学者のアンナ・ブレマンは将来に気前のよくなる傾向があるのかボランティアを利用して調べました。
ブレマンは、発展途上国の地域における持続可能なプロジェクトを支援する「ディアゴニア」というスウェーデンの慈善団体と協力し、実験を行いました。
実験のために、募金集めを以下の2通りの方法で試してみました。
1つ目が「ギブ・モア・ナウ」というプログラムで寄付した人の口座から毎月、自動的に引き落とされる寄付金を今から増額するというもの
2つ目は「ギブ・モア・トゥモロー」というプログラムで、毎月寄付金が増額すること同じですが、増額の開始が2ヶ月後というもの
つまり、増額が今始まるのかそれとも2ヶ月後に始まるのかという違いでした。
この2つの寄付金を比較してみたところ、「ギブ・モア・トゥモロー」に参加を依頼された人たちは「ギブ・モア・ナウ」に参加を依頼された人たちよりも寄付金の増額が32%も多いということがわかったのです。
さらに、この効果は短期間では終わらずに、なんと12ヶ月後も96.6%もの参加者が寄付を続けていました。
まとめ
つまり、私たちは将来のことについては気前がよくなり、さらにその効果は私たちが思っている以上に長続きするのです。
これは、前回紹介した自分の未来のことを過度に楽観視してしまうという研究とも一致しています。
将来の労力や金銭については現在と心理的に距離があるため、なかなか自分ごととして捉えにくいのです。
しかし、この傾向をうまく使うと他人からの金銭面や労力的な面で協力を得やすくなります。
たとえば、1ヶ月後の契約を今、取り付けてしまことや、人にお金を投資して欲しいなら2ヶ月後にお金を投資してもらうといった具合に。
ただ、これは逆にいうと自分も未来のことについて気前よくなりすぎてしまうことが注意しなくてはなりません。
あまりにも現在の自分から距離のある未来への契約や約束については、それは今すぐにと言われた時に行動したいかを考えるべきだと言えるでしょう。
というわけで、人は未来のことには気前がよくなるという傾向を頭に入れて相手を説得してみてはいかがでしょうか。
じゃあまたね〜。
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