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逆境の心理学

実はストレスが少ない人生の方が不幸である!?ストレスと幸福の心理学

投稿日:2020年8月31日 更新日:

こんにちは、心理学ライターのshinです。

私たちが生きていれば必ず感じる感情の1つがストレスですよね。

ひとえにストレスといっても、会社で上司から理不尽に叱られた時に感じるストレスもあれば、家族と口喧嘩したときのストレスもあります。

とにかく、私たちは常になんらかのストレスは感じながら生きているわけです。


多くの人が考えるのはストレスが多いのはよくないから、なんとか努力してストレスの原因を減らしたり、ストレス解消をしようと試みます。

「ストレスフリーな生活がしたい」と考える人は多く、こういった人たちはストレスがなくなれば幸せになれるだろうと思い込んでいたりします。

ではこの人たちが主張するように、本当に周りからストレスがなくなったら私たちの幸福度は高まるのでしょうか?


答えは残念ながらノーです。

付け加えると、どうやらストレスの欠如は人を不幸にするとわかっています。

ストレスは意外にも幸福のカギだった!?

2005年から2006年にかけて行われた「ギャラップ世論調査」が面白い事実を見つけました。

この「ギャラップ世論調査」では121か国の12万5000人もの15歳以上の人々に対して1つの質問を行いました。その質問は

「あなたは昨日、大きなストレスを感じましたか?」

先進国では電話調査が行われ、発展途上国などでは調査員による訪問形式で実施されました。

その後、研究者たちは各国のストレス度指数を調べました。

まずはその結果をお伝えしましょう。

121か国の平均      33%
アメリカ          43%
最上位(フィリピン)    67%
最下位(モーリタニア)   5%強

こういう結果になりました。

研究者たちは、国ごとにかなり大きな差がみられたことからストレスが幸福度や平均寿命、そしてGDPなどに影響はあるのかを調べました。

果たして大きなストレスは国の繁栄や幸福度にとって望ましい事なのでしょうか、それともそれを阻止する邪魔者だったのでしょうか?


研究者も驚くほど面白い事実が判明しました。その事実は

ストレス度指数の高い国ほど、平均寿命も長く、GDPも高く、さらに国民の幸福度や人生に対する満足感も高い、ということでした。

まとめ

つまるところ、世論調査で最も幸せな人たちは必ずしも、ストレスを感じていない人たちではなかったってことです。

むしろ、最も幸福な人たちは大きなストレスを感じていながら、精神的に落ち込んでいない人だったのです。

このような現象をスタンフォード大学の心理学者であるケリー・マクゴニガル博士は「ストレス・パラドックス」と呼んでいます。


では、私たちはこの「ストレス・パラドックス」についてどう捉えるべきでしょうか。

まず、第一にストレスが絶対悪だと考えないことでしょう。このことについては過去にもストレスに関するマインドセットの記事で書いています。

もう1つ大切なこととして、辛いことがあるからこそ、より大きな幸せを感じるのだと考えることです。

例えば、喉が乾いてない時に飲むコーラよりも、暑い夏に運動して喉がカラカラの時に飲むコーラの方が何倍も美味しく感じるみたいなことです。


作家として芥川賞を受賞したお笑い芸人のピース・又吉さんが近畿大学でのスピーチで「嫌なことが続く夜は良いことが起こるためのフリである」とおっしゃっていたを思い出しました。

人生行きていれば辛いことだってあるし、それは誰もが経験することだけど、そこをどう乗り越えるかが最も大事になってくるということですね。


というわけで、ストレスとは自分の人生をより楽しむための「フリ」である、そういう風に考えて向き合ってみてはいかがでしょうか。




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