こんにちは、心理学ライターのshinです。
みなさんは影響力の武器という本を聞いたことがありますか?
影響力の武器は心理学を学ぶ基礎としてとてもいい本であるだけでなく、人を説得するときにどのようにすればイエスと言わせることが出来るのかを解説した名著中の名著と言える心理学の本です。
相手に影響力を与えるにはどうすればいいかが詳しく書かれており、中でも人が最も動かされやすい要素が6つの影響力の武器として説明されています。
ちなみに6つの影響力の武器は、
コミットメントと一貫性
好意
権威
返報性
社会的証明
希少性
です。
しかしこの言葉の裏に隠された心理の法則を理解しなければ使える知識となりません。
そこで6つの影響力の武器をひと記事につき1つずつ徹底的に解説していきます。今回は社会的証明の原理について解説していきたいと思います。
人はみんながやっていることを真似したくなる!?
人の行動や思考に大きな影響を与える要因の一つとして社会的証明の原理があります。この社会的証明の原理は人は他の人の行動や言動を基準にして物事を判断してしまうという傾向のことです。
まあ確かに人は他の人からの影響を受けるよね、って感覚的に思うかもしれませんがこれは私たちが直感で感じている以上にかなり強力です。
まずは社会的証明の代表的な研究を見ていきましょう。心理学者のアルバート・バンデユーラとその同僚が行った犬を怖がる3歳から5歳までの子供を研究した実験があります。
この3歳から5歳の子供たちに対して小さな男の子が犬と楽しそうに遊んでいる様子を1日20分見せました。
たったこれだけの単純なことで子供たちに大きな変化が出ました。
4日後には子供たちの67%が部屋に誰もいない時に自ら進んで遊び部屋に犬と一緒に入って犬をかわいがるようになったのです。
さらに1ヶ月後に研究者たちが子供の恐怖心を測ったところ、恐怖感は低いままだったのです。この効果は映画を見せても現れたそうです。
そのほかにも他者の行動を映画としてみせるというやり方によって行動を変化させた研究が心理学者のロバート・オコナーが行ったものです。
極端に引っ込み思案だった子供に対してひとりぼっちだった幼稚園児が積極的に社会的な活動を楽しんでいるという映画を見せました。
すると、なんと映画を見たすぐ後から引っ込みがちだった子供が普通の子供たちと同じぐらい他の子と交流するようになったのです。
さらにすごいのは、6週間後にオコナーが幼稚園を訪れると、映画を見なかった引っ込み思案の子はひとりぼっちでいたのに対して、映画を見た子供たちは社会活動でみんなを引っ張るような存在になっていたのです。
このようにたった数十分の映像を見ただけで行動パターンが大きく変わったということを見ると社会的証明の原理の強力さをわかってもらえたと思います。
まとめ
二つの研究結果を見てもわかる通り、私たちは他の人が取っている行動や、信じている考え方にとても流されやすいという性質を持っているんです。
さらに社会的証明は以下の二つの条件下でさらなる影響力を発揮することがわかっています。その二つは
1、不確かさ
人は自分の決定や決断に自信を持っていない時や状況が曖昧な時には他の人からの行動が正しいものだと思い込む性質があります。
2、類似性
人は自分と似た人の考えや行動に影響を受けやすいことがわかっています。
この要素は社会的証明をより強力にします。
とにかく人は周りの多数の意見や行動に流されやすく、これが良くない方向に行ってしまうことも多々あります。模倣的な自殺や犯罪などです。
実際にデイビット・フィリップスという社会学者の研究では新聞の一面で自殺が広く報じられている地域では自殺率が急激に増えていることがわかっています。このことを「ウェルテル効果」と読んでいます。
由来はかつてドイツの作家のゲーテは「若きウェルテルの悩み」という主人公が自殺してしまうという小説を出版すると、ヨーロッパ中でウェルテルをまねた自殺がたくさん起こってしまったのです。
こういった統計的事実があるにも関わらずいまだに自殺や殺人が報道されているのを見るとゾッとしますね。
最後はちょっと怖い話になってしまいましたがまあそのぐらいこの社会的証明の原理の影響力が強いってわかってもらえたかと思います。
というわけで使い方次第では物をより多く売るようなマーケティング的に使うことができますので、悪用せずにうまく使ってみてはいかがでしょうか。
参考文献、オススメ本
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