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組織心理学

集団がうまくいかない理由「社会的手抜きの罠」を解説

投稿日:2021年3月9日 更新日:

こんにちは、shinです。

今回は「社会的手抜きの罠」について解説します。

大人数で仕事を回しているのに思ったより生産性が上がらない、クラスで文化祭の準備をしているのになかなか進まない。

こんな状況は一度は経験したことがあるのではないでしょうか?

普通に考えれば一人当たりの労働力を1とすれば、100人集まれば100もしくはそれ以上になるはずなのに、実際のところは80ぐらいみたいなことはよくあります。

なぜこのようなことが起こるのか?

その答えは「社会的手抜きの罠」にあります。

社会的手抜きとはグループワークで物事を進める時に起こるもので、責任が分散されることから、一人一人が少しずつ手を抜くという現象です。

人数が増えれば増えるほどサボりやすくなる

フランスの農学者マキシミアム・リンゲルマン1913年に馬の労働力を調査し、次のような結論に至りました。

馬車を二頭で引かせても一頭の二倍の働きはしない。

この結果に興味をもち、続いて何人かの男性に綱を引いてもらい、綱を引いた時の力を計測しました。

すると以下のような結果になりました。

1人の綱を引いた場合:100%
2人で綱を引いた場合:93%
3人で綱を引いた場合:85%
4人で綱を引いた場合:49%

つまり、集団が大きくなればなるほど1人あたりのアウトプット量は減って行くことがわかったのです。

このよう現象は常に行われています。

たとえば、サッカーの試合を見ていると、退場者が出て10人(基本は11人)になった時の方が迫力ある試合が展開されることがしばしばあります。

これは11人の時には責任が分散されるため、多少走らなくても誰かがやってくれるだろうという社会的手抜きが発生しているのではないかと思われます。


サッカーの例は肉体的な作業の例にはなりますが、社会的手抜きは精神的な作業にも起こります。

グループデスカッションはまさにこのいい具体例で、グループが大きくなればなるほど「誰かがやってくれるだろう」「多少サボってもバレないだろう」という思考が働き、特定の人しか意見を出さなくなってしまうのです。

社会的手抜きの罠にハマらないために

社会的手抜きをしやすい状況を作ってしまうと、組織の力を存分に発揮できない可能性が高くなります。

では、社会的手抜きはどうしたら防げるのでしょう?

答えは、グループ一人一人のアウトプットを可視化することです。

社会的手抜きはそもそもバレない程度しかサボらないという性質を持っています。(サボっているのがバレるとグループメンバーに嫌われますから)

一方で専門的な人たちが集まるグループでは、個人に責任の所在がはっきりしているため社会的手抜きが起こりにくいのです。

つまるところ、個人個人の業績をはっきりさせることができれば、社会的な手抜きの罠にハマらなくて済むわけです。

グループや組織のリーダーはいかにして「個人の業績をはっきりさせるシステムを作れるか」ここが腕の見せ所だなーと思いました。

組織づくりの参考にしてみてください。


じゃあまたね〜。



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