心理学ブログ

Just another WordPress site

バイアスの科学 意思決定の心理学 逆境の心理学

死すら招く!?「ネガティブバイアス」の脅威とは!?

投稿日:

こんにちは、心理学ライターのshinです。

私たちは普段から過去の経験や先入観で偏ったものごとの見方をしやすいようにできています。

たとえば、最近はかなり聞くことが減りましたが「女性が家事をするものだ」みたいな考え方などです。

女性が家事をするものかどうかという議論は一旦置いておいて、こういった先入観や偏った見方のことを心理学では「バイアス」と呼んでいます。

「バイアス」にはさまざまな種類があるのですが、その中でも今回は「ネガティブバイアス」について取りあげます。

ネガティブバイアスとはポジティブなことよりもネガティブなことに対して敏感に反応しやすくなるという思考回路です。

ではなぜこのネガティブバイアスが大きな問題になるのでしょうか?


実は、ネガティブバイアスがあまりにも強いと自分のタスクに集中できないことがわかっているからです。

実際にネガティブバイアスが死を招く可能性を示唆した研究を見てみましょう。

ネガティブバイアスが死を招く?

交通事故に関する研究で中国科学院のドライバーを対象にした研究があります。

この研究ではまず、全員の交通事故歴を調べた上で安全運転グループと危険運転グループに分類しました。

その後、参加者全員にポジティブな写真(喜んでいる人など)、ネガティブな写真(涙を流す子供など)、そしてニュートラルな写真(風景画など)を見てもらい、それぞれに対する反応速度を調べました。

すると面白い事実が判明しました。

危険運転グループほどネガティブな写真に強く反応する傾向があったのです。


この事実が何を示しているかを説明している交通事故に関する研究もあります。

交通事故を起こす心理メカニズムとして

対向車線にスピード出し過ぎなどといった挙動不審な車が現れる
⬇︎
運転手にネガティブバイアスが働き、対向車線の車に注意が向く
⬇︎
自分の運転が疎かになり、事故を引き起こす

という結論になったのです。

まとめ

つまり、「ネガティブバイアス」があまりにも強いと注意がそちらに向いてしまい、自分の行動に集中できなくなってしまうのです。

言われてみれば、なにか不安なことを考えているときはなかなか集中することができないという経験は誰にでもあるのではないでしょうか?

このようにあまりにもネガティブバイアスが強いと仕事でも私生活でも不幸な結果を招きかねません。

このネガティブバイアスの対策としてはまず、ネガティブなバイアスが存在する事を理解することが重要です。

自分が今、「ネガティブバイアス」に陥っているな、と自覚するのです。

この距離を置くことによって私たちは自分のことを客観的に、そして冷静に見ることができるのです。

そうすればいかに自分が現実を歪曲してネガティブな妄想をしていたかに気づき、それが取るに足りないことだということを理解できるでしょう。


というわけで、ネガティブな思考に陥った時には「ネガティブバイアス」に陥っていることを自覚して対策してみてはいかがでしょうか。

じゃあまたね〜。




参考文献、オススメ本

認知バイアスについての名著といえばこちら

-バイアスの科学, 意思決定の心理学, 逆境の心理学

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

成功体験に囚われる「ビッグウィン仮説」の心理学

こんにちは、心理学ライターのshinです。 人は現状維持を好みやすいというのはよく知られた事実です。社会科学の分野では「現状維持バイアス」という名前までついています。 たとえば、ダイエットを決意したの …

天才を越えるためのクリティカルシンキング入門

こんにちは、shinです。 天才と言われるとどんな人を想像するでしょうか? 人によって思い浮かべる人は違うでしょうが、東大に入るようなクラスの優等生や、イチロー選手などの並外れた成績を残した人をイメー …

自己暗示よりも効果的!?疑問型セルフトークの効果とは!?

こんにちは、心理学ライターのshinです。 あなたは大事なプレゼンテーションの前や、試験の前のような緊張する場面でどのようにして自信をつけますか? この答えの中で多くの人が行いがちで、自己啓発本にも書 …

選択肢は実は少ない方がいい!?「行動経済学」から分かる選択の科学

こんにちは、心理学ライターのshinです。 皆さんは選択についてじっくり考えたことありますか? 意外とじっくりと自分がどうやって選択肢の中から決断しているのかって考えたことないですよね。 人生は選択の …

意思決定を歪める「自前主義バイアス」の罠とは!?

こんにちは、心理学ライターのshinです。 あなたは自分の作った料理が他人の作った料理よりも美味しく感じてしまったことってありませんか。 自分が作った料理の方が他人の作った料理が美味しいなんてあたりま …