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意思決定の心理学

選択肢は実は少ない方がいい!?「行動経済学」から分かる選択の科学

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こんにちは、心理学ライターのshinです。

皆さんは選択についてじっくり考えたことありますか?

意外とじっくりと自分がどうやって選択肢の中から決断しているのかって考えたことないですよね。

人生は選択の連続です。人生を左右する選択といえば、どこに住むのか、誰と結婚するのか、なんの仕事をして働くかなどです。もっと身近な例で言えば今日の服は何にするかとか夜ご飯は何を食べるかとかも選択に入ります。

人はだいたい1日に35000回ぐらいの選択をしていると言われており、その選択ひとつひとつが私たちを作っているといっても過言ではないでしょう。

しかし選択について多くの人が間違えている常識があるんです。

これは何かというと「選択肢は豊富であればあるほど良い」という考えです。いやいやちょっと待ってくれ、選択肢はたくさんあったほう方が幸せじゃんて思うかもしれませんが、実はこれ大きな間違いです。


行動経済学の分野では選択肢が豊富にあるとかえって選択できなくなったり、幸福度や満足度が低下しちゃうよって言われているんです。

まずはその証拠を裏付ける有名なジャムを使った実験を見てみましょう。

豊富な選択肢はかえって選択の邪魔になる!?

コロンビア大学ビジネススクールの教授であるシーナ・アイエンガーは彼女の助手ととも商品を売るときに豊富な品揃え(選択肢)は本当に良いことなのかを調べるためにある店の店長に協力してもらい、実験を行いました。

実験ではジャムの試食コーナーを設置して、大きな品揃い(24種類のジャム)と小さな品揃い(6種類のジャム)の2パターンを用意して、数時間ごとに入れ替えました。

このとき売り子とは別の研究助手がジャムの試食に立ち寄った客の数をこっそりと数えていました。

その結果、24種類のジャムの時には買い物客の60%が立ち寄った一方で、6種類の時には客の40%しか訪れなかったことがわかったのです。

ここまでをみるとやはり豊富な選択肢はいいことじゃんって思えますが、実はまだ続きがあります。


試食コーナーに訪れた人は平均2種類のジャムを試食していました。この試食コーナーでは訪れた人にジャムのクーポン券が渡されました。

そして、このクーポンを集計した結果、面白い事実がわかりました。


なんと6種類の試食に訪れた客のうちジャムを購入したのは30%だったのですが、24種類のジャムの場合、客のわずか3%しか購入していなかったのです。

まとめ

さらに売り上げを見てみると少ない選択肢の方が多い選択肢よりも6倍以上も売り上げていたんです。

この実験から分かるように、私たちは直感的には選択肢は多ければ多いほど良いと考えてしまいがちですが、実は多すぎる選択肢を提示されるとかえって選択できなくなってしまうのです。


基本的に人が可能な情報処理の能力は7つほどだと言われていて、これを考慮すると7つ以上の選択肢が与えられると選択が出来なくなっちゃうんじゃないのみたいなことが言われているわけです。

選択肢は少ないとよくないよねみたいなことが言われてはいますが、実は選択肢って多ければ多いほど良いってわけでもないよってことが示唆されてるんです。


実際にプロクター&ギャンブルは「少ないことは良いこと」を実践し26種類あったフケ防止シャンプーを15種類に減らしたことによって売り上げが10%も上がったんです。

実際の企業の売り上げでも証明されているっことでかなり人間の心理を突いている内容であると言えそうです。

というわけで多すぎる選択肢はよくないってことを覚えていると様々な応用ができると思うんで、この知識を使ってみてはいかがでしょうか。

参考文献、オススメ

後悔しない選択をするためのオススメはこちら

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